章タイトル。

章タイトル。

今は「THE 20回転の恋」の超佳境の時期。なんたって来週の今頃は初日の幕が開いているんだから。残す稽古は4回。ここのところ追い込みまくっているのだけど、昨日の稽古は手応えがあった。これまでに演出席で手応えを感じる事は幾度もあったけど、今回の手応えは「舞台上でみんなが手応えを感じている」という確かな手応えがあった。なかなかお目にかかれない瞬間だったなぁとしみじみ。

そして今回3ヶ月以上もかけて稽古に勤しんできたメンバーだからこそ掴めた手応えだった。最初のうちに「今回のメンバーで上演できるのは7月の千秋楽まで。だからそれまではどうかみんなで夢中になろう」と言った。いっぱい脇道にも突っ込んだり迷子にもなったりしたけど、今全員が夢中になっている「THE 20回転の恋」。まだまだ満足すべき段階ではないけれど、演出冥利に尽きる事この上なし。悪い自分は「どないやねん!他の芝居で他の座組でここまで上がってこれるんかい!」みたいな意地悪な物言いをして、良い自分は「みんながフォローしあって走り続けたから、まだもうちょっとだけ先を目指そう」ってなってます。複雑な頭の中。演劇関係者からの予約がほとんどないけど、もうすぐ全ステージ満席になるかもしれない。これはかなりの僥倖だと思う。

今回のシナリオは全部で20のシーンで構成されています。20回転の恋なだけに。だから稽古では「●●回転やりまーす」っていうとみんなが反応してくれる。共通言語。で、もう一つ、片岡自動車工業で公演を打ちはじめてから、脚本に章タイトルをいつも載せています。遊び心のある章タイトルだったり、物語の確信に迫る章タイトルだったりマチマチなんですけど、あ、「お局ちゃん御用心!」の時には全章タイトルは映像で打ってましたね。

「大奥の決まり事」「家紋」とか。まぁそういうのがね「THE 20回転の恋」にもあるんですけど今回は結構それがキーポイントにもなっていて、当日1000円で販売の豪華パンフレットには実は全ての章タイトルが記載されているコーナーもありますので、是非読んでもらえたら嬉しいなと思います。

この写真、かなり初期のやつなんだけど、もう大昔に感じる。それだけ密度ある稽古期間を過ごせたという証なんだと思います。まだ油断はできないけど、ここまで誰一人欠ける事なく一緒に走り続けて来られて本当に嬉しい。

そして誰一人として成長していない人がいない。みんな顔つきから何から全部アップグレードされています。稽古するたびにハリが、緊張感が、眼差しが、増してゆく。楽しいだけじゃなくて、出来なかった事がどんどん出来るようになってきていて、本当に幕が開くのが楽しみなんですよ。珍しい。普通は怖かったりするんですけどね。在り来たりな言葉ですけど、このメンバーに集まってもらえて自分はとても嬉しいです。今回のこの企画、一番びびっていたのは自分で、そして一番勉強させてもらっているのもまた自分です。

あと一週間。世界のポジティブとネガティブのバランスをひっくり返していきたい。そして、壮大でもなんでもない、どこにでもありそうな小さな物語だけど、ここでしか起こり得ない舞台をお見舞いしてやるんだから。

余談ですが、この「THE 20回転の恋」という演目は自分の過去作品の「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」「S現実」「何億年先でも」と同じ街を題材に巻き起こる別のお話です。どうぞお楽しみに。

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