ツンとドラ「S」現実のキャスト紹介。

ツンとドラ「S」現実のキャスト紹介。

どうも。最終稽古が終わり、数時間後には小屋入りの今夜だからこそこの座組の演出としておれ目線ではあるけど、ささやかな紹介をいたします。

太田伊純さん。

この話を考える時に真っ先に頭によぎったのが彼女でした。去年Sarahさんのムーンビームマシンで共演したのが初。技巧やなんやはおいといて彼女の背景に秘めている魅力を感じたという直感。自分の芝居に出演してもらいたい、と思い今回の登板。主人公の凪というキャラクターを演じる。劇場では彼女の魅力を感じていただきたい。芯がブレず、役を全うしている。彼女を知らないお客様は是非観にいらしてください。もちろん片岡脚本演出作品には初出演。

川添公二さん。

セプさんとお呼びしている。180cmもあるナイスガイな兄さんで、ちっとも絡みがなかったのでセプさんもおれの作品には初出演。かなり自己投影したキャラクターを彼に演じていただく上で、セプさんの柔軟性とお人柄、大胆さと遊び心、どれを取っても「どうして今まで声をかけなかったんだろう」と思わされるばかり。他では見れないセプさんのダンディーな芝居が炸裂しています。めっちゃ良い。可愛い芝居が出来る先輩。

有元はるかさん。

普段はなかなか描かない母性溢れる大人の女性を演じてくれる有元さんは、同じ年。随分昔に共演したんだけど、10年以上も前なので超久々。彼女は技もさる事ながらハートで勝負出来る女優だ。今年夏に上演した「お局ちゃん御用心!」に出演していてもおかしくないくらいのマッチの仕方。彼女が歩み寄ってくれているからなんだろうけど、まわりを見ながらいろんなスタンスをチョイス出来る引き出しの多さも類を見ない。

真壁愛さん。

最近のおれの芝居ではレギュラーで出演し続けてくれている真壁さん。彼女とは昔同じ劇団で、一緒に一人芝居も作ったりもした。多人数が出演する今回のような作品で今回彼女は、裏のヒロインを演じている。そういえば「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」の初演も彼女が主演だった。当時は新人劇団員だったのに。なんというか、今回の彼女の演技でおれは稽古中に何度も震えた。これまでトス役に徹して来た真壁さんが大変難しい役どころを演じている。今、俳優として一番成長期に当たる彼女の作演出を担当できて光栄なおれです。

鈴木洋平さん。

彼も有元さんと同じく同じ年。今回の座組でいうと仮におれがキャプテンとするなら間違いなく彼が副キャプテンである。実は昔に演じてもらったおれの作品の役のスピンオフにも当たる今回の作品。またあの役を演じている彼を見れるのはわりと胸が熱くなる。なので役作りに関しての擦り合わせがほとんど不要だった。自分自身、大事な局面での公演ではいつも彼が共演してくれた。劇団の東京進出公演、ピースピットでの主演作品でも共演、片岡自動車工業でも第一回、第二回と力を存分に発揮してくれている。パッション、声、キャラクター、グルメ、彼には武器がたくさんありマス。

下野佑樹くん。

オーディション参加の下野くん。稽古序盤では頭脳でプレイしすぎていたけど、筋が通ると途端に化け始めた。今回、男性なら誰しもが下野くんが演じるキャラクターに共感するだろう。そしてわりと女性にもモテると思う。こんな奴がいたらそれだけで幸せなんじゃないかなぁというような役。下野くんはとことんまで演劇の構造に突っ込んでくる。その姿勢がおれとしてはとてもありがたいし、それが当然であるんだなぁと再確認させられたりもした。12歳差。おれは彼に「下野くんの●●が好きだからそれをもっとちょうだい」的な注文をした。人事を尽くしてくれる俳優は若手だろうが信頼できる。

飯伏裕理ちゃん。

三作品、おれの作品作りのサポートをしてくれた彼女が、オーディションを受けに来てくれた。見事に合格し、今回ついに役を獲得した。彼女にしか出来ないキャラを書いたし、現時点で彼女以外の人が演じているイメージが出てこない。小道具も作ってくれているし、芝居に対していつも直向きだ。その姿勢は少なからず、今回の座組に大きな影響を与えている。何事にも素直に全力でぶつかれる彼女は物語の中でかなり重要で印象的な役割をお願いした。おれは増えると思う。ファン。

稲田紗恵ちゃん。

この作品の中で最も片岡作品らしい役どころをキャスティングした紗恵ちゃん。稽古中は大苦戦の日々もあったけど、涙の数だけ(流したかどうかは知らないが)成長している。彼女は変わっている。まるで「可愛い」を強要されながら生きてきたような人だ。それは人生においても、演劇歴においても。だから彼女自身「可愛い」の枷を自ら背負ってしまっている。仕方がない。環境のせいだ。だから今回は、可愛いだけではない彼女を是非ご堪能ください。もっと色々一緒に作りたいなぁと思わせてくれるプレイヤーだ。変態だし逸材。

堂床真奈美ちゃん。

トコちゃんと呼んでいる。大御所劇団所属のトコちゃんは、人柄もあって細やかな気遣いの達人だ。今回のキャラクターはリーダーシップを取るようなキャラクターだけど、トコちゃんが演じることによって脚本執筆時のイメージからかなり進化している。本人は無自覚かもしれないけど、トコちゃんのようなプレイヤーがいて初めて周りのキャラが動き始める。実は要。トコちゃんでないと暴れすぎていたり抑えすぎていたり、キャリア故に出来る高等技術がそこかしこに散りばめられている。どのシーンのフレームにも必ず映り込んでくるトコちゃん、お見逃しなく。

川野楓ちゃん。

かえちゃんと呼んでいる。年齢はダブルスコアくらいおれと離れている。彼女くらいの娘がいてもおかしくないくらいである。でもこの小動物のようなかえちゃんは、今回が初舞台。これがほんまに初舞台なんか?と耳も目も疑うほど堂々たる立ち振る舞い。仮に彼女を新人と仮定するならこんなにも今後の活躍が楽しみな新人は他にいないと思う。若さも含め可能性の塊だ。よくぞオーディションを受けにきてくれた。正直なのも物怖じしないのも、とてもいい。

森田鯉寧ちゃん。

オーディションで一目見て速攻「取る」と決めたのが彼女です。鯉寧ちゃん。経験も浅いし、多分現時点でこれこそ彼女の武器!というようなものはない。というのが武器なのです。自覚も多分ないけど、彼女は良くも悪く周りとの距離感を詰めて行く才能がある。それは決してデリカシーがないという事ではなく、例えデリカシーがないんだとしても、それは舞台上では立派な技術だ。そんな彼女は悩んだり立ち止まったりもした。一緒に小屋入りして本番を迎えられるのが嬉しい。ちょっと性格がおれに似ている。

乃緑ちゃん。

彼女には「おれ色に染まれ!」みたいなSっ気をおれに出させる何かがある。結構ちゃっかりしているし、「至る所でふてぶてしさを感じる。」というのを早い段階で直接伝えた。それくらい自分が確立されている。彼女もまたキャリアはそこそこにある部類の人なんだけど、演劇ってこれが正解ってのがないから毎日がディスカッション。せっかく一緒にやるわけだし、今まで彼女になかった魅力を存分に楽しんでほしい。演出からのオーダーの処理能力がめちゃめちゃ高い。そして有り体に言うとガサツだ。ガサツは良い。こっちも遠慮しないで済むから。

髙島理くん。

クールな佇まいでアクションも出来る彼のアクション部分を一切要求しない役どころにキャスティングとなっている。ところがどっこいものすごく面白くなっているのが彼。彼自身も自分が演じる役の面白味については十分理解していて、あれこれとネタを放り込んでくる。そうそう、男子同士ってこんな感じで作っていけば良いよねぇと頼もしい男です。おれは、彼をおさむちゃんと呼んでいるのだけど、おさむちゃんはあれだな。覇気のない堤真一みたいでめちゃめちゃ良いなぁ。覇気がないのが良いんだよ。だってアクションしてる時の彼は覇気あるんだから、それ以外の演技部分では覇気なんてなくて良い。遊び心はちゃんとあるんだし。

白井創くん。

友達でこういうやつおったわぁみたいな奴が彼です。全面的に抜けているところがあって、放置するとそのまんまなので制限と矯正が必要なんだけど、わりと役者って制限かけられたり、矯正されることによって、噴出する瞬間的な輝きがあって、今回はそれがバッチリハマっている。でも彼はコミュニケーション時も抜けている事があるので、あんまり会話が長続きしない。与えられた仕事もわりと忘れてることもある。曲者だ。でも多分曲者加減で言うとおれのほうが一枚も二枚も上手だ。

井口朋生くん。

稽古終盤で追加されたキャラクターとして登場する20歳のルーキー。自分の世界がちゃんとあって、ちゃんと有りすぎるせいで、他との共存をしてこなかったタイプで、オタクのそれとは種族が異なる。肝心なのは好奇心旺盛だと言う部分で、好奇心が好奇心のままで終わっちゃうなら残念だけど、ちゃんと実現するためのプロセスをしっかりこなすように促すとわりと愚直にそれに専念できる。そう言う点では鬱屈はしていなくてピュアだ。しかし何だろう。彼の全体的に許されるあの感じ。若干20歳にして、あの許され方、どうやって身につけたのだろうか。

たかはしまこちゃん。

すげぇ自分の話ばっかりする。しかも体調が悪いって話ばっかりする。他者との関わりにまず自分をプレゼンする癖が染み付いているし、それは舞台にも反映されている。何でもかんでも説明し過ぎると言う弱点を兼ね備えた彼女は、身体も弱いし、メンタルもそんなに強くない。彼女のような女優が、しっかり舞台に立てる状況を用意するのは、もちろん演出の仕事だ。
変わり者であることは舞台では最大の武器である。

小野村優さん。

実はアナザー出演してくれる小野村さん。片岡作品にも出てくれたことのある彼女は、「わからないことをわからないままにしない」である事や「おかしいことについては納得が行くまでは尋ね続ける」である事、そして「納得してからの芝居構築のセルフプロデュース能力の高さ」が、近年の関西小演劇界に(どこからどこまでがその界隈なのかわからないが)そこに浸かりきっていないところが素晴らしい。絶えず観客のことを考えながら役に殉じている。

今回の作品においてはこの座組にダンサーが複線で登場してくれるのとあとはおれが出演する形。これがね、相乗効果ですごいことになりそうなんです。だからおれは胸を張って言えますわ。この座組最高だ。全員で駆け抜けるぞ!

長くなっちゃったけど、これを読んでくれた方で、観てみたいなと少しでも思ってもらえると嬉しい。すでに観劇予定のお客様も、この紹介を踏まえた上で是非、お楽しみください。自分のユニットをやっているだけではなかなか一緒に作れない人たちと出会えた。それはとてもとてもありがたい事だし、おれ自身も成長させてもらっている。

2018年12月7~9日梅田HEPHALLにて。

ツイッターアカウントにDMいただければご予約も賜れます。是非。

また書きます。

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