公演が終わる前にですね。

公演が終わる前にですね。

いつも後書きみたいになってしまうんだけども、今日はスタッフさんの事を書きます。関西小演劇界という括りがどこからどこまでなのかわからないですが、ビジネス以外の部分で人と人が支え合って公演になっているのがその括りだと思っているおれです。

●舞台監督の今井さん

知り合ったのはゲスト出演した月曜劇団で出演者と舞台監督という間柄。通し稽古に来て爆睡した今井さんが、血気盛んだったミジンコターボという劇団の10年間のほとんどの舞台を支えてくれた方です。10年間に今井さんは結婚もしてパパにもなって、子沢山。現場にピリピリした空気を持ち込まずいつもたしなめるように怒ってくれました。今でもまだ怒ってくれますわ。「今のカーテンコールグダッてたぞ」って。たぶん一生言われるんちゃうかな。ありがとう今井さん。今井さんのお子さんが「関ヶ原の見物人」を観に来てくれて、石田三成に強い興味を抱いたと奥さんからメールが届きました。立派に仕事してまっせ。お局ちゃん御用心!でお鶴が使っているボロボロの番傘は、今井さんが細工してくれたやつです。

●衣装の植田さん

植田さんは劇団を旗揚げする前「百萬両ジェントルマン」というユニットの公演の時から衣装をしてくれています。kasaneになるずっとずっと前。その公演は、脚本演出の男が記憶喪失になるという壮絶なものだったのだけど、いつもポップで攻撃的な衣装を手がけてくれました。「殺す気か」と何回か独り事が聞こえてきましたけど、最大で一つの公演なのに90着以上もオーダーした無茶苦茶な芝居もありました。植田さんの初和物はおれが演出する作品でした。どんな無茶なオーダーにも全力で応えてくれてさらに刺激を持ち込んでくる。出る杭がそのまんま出っぱなしになったような衣装家の彼がいなければ、世界観がこんなに広がりを見せる事はなかったと言えます。

●照明の直子さん

初めておれの作品をデザインしてくれたのが初演の「ゼクシーナンシーモーニングララバイ」という作品で。想像だにしないプランを持ち込んでくれて、「あ!この人の明かり大好きや」ってなったんを覚えてます。良し悪しではなく相性の問題で、自分は明かりに関してあんまり知識がないので、音楽のことばっかり考えてたりもするので、直子さんのような照明さんと出会えたのは奇跡のような事です。それまで出演では幾度となく明かりを当ててもらっているんですけれども。そしていい照明だなぁと思ったらだいたい直子さんです。突劇金魚さんとか。片岡自動車工業としては前回に引き続きなんですけど、今回は二本立て、ものすごい事をしてくれています。一体どうやってるんやろう。

●映像の赤星さん

前回公演の「青島青子」で無茶振りをしまくったせいで、今回もえらい事をさせてしまっている上にゲスト出演までさせてしまうという暴挙。先輩をなんやと思ってるんや。赤星さんが「おもしろい」って言ってくれる部分は人とかなり違ってて、それはわかってるんだけどもわりと自分も赤星さんの「おもしろい」を目指している節もあって、あんまり他人には理解してもらえないんですけど、今回「お局ちゃん御用心!」においてはSE【ビンタ】を出してもらったり、その隣では殺陣のSEをおれが出していたりで共演もたくさんさせてもらっててもちろん嬉しいんですけど、今回はブースで隣同士でオペをしています。いろんな形で先輩と関われて本当にうれしい。発想がとどまるところを知らない。

●音響の大輔さん

ト社で知り合った大輔さん。ゆっくりな話口調や、できるできないのハッキリしてさ加減とか大好きです。実は共演もしてます。舞台上でもオペができる音響さん。出したオーダーに対して答えてくれてて、たまに遊び心も出してくるのが凄く好き。できればずっと一緒に仕事がしたい。「ひゃっくん」からはじまる相談も心地が良いし、彼もまた一切ピリピリしないのがいいのです。今後の目標としてはいつか片岡自動車工業の舞台に彼を出演させることです。
安心で、頼もしい、大輔さん、プロフェッショナルっすわ。

●美術の西本さん

片岡自動車工業になってからお願いし始めた西本さん。彼の具象と抽象を重ね合わせた美術は、奥行きだけでなく平面と立体も交錯しています。スクリーンが開くまでお披露目しないという演出にしているのも、美術のインパクトでさえ楽しんで欲しいから。なににしても立っていて楽しい舞台ってなかなかないですからね。今回特にすごいのが野外である「関ヶ原の見物人」と屋内である「お局ちゃん御用心!」で両方成立させているところですよね。ふわっと上演されてますけど、これはかなりすごいことなんですよ。だから二本どっちも見て欲しいわけです。西本さんの工場で美術を積み込むのは結構楽しいです。変な人だけど。

●ヘアメイクの河瀬さん

今回はじめましての唯一の部署がヘアメイクです。実は河瀬さん、10年前に初めてHEP HALLで上演した演出作品「ダメダメサーカス」に増員できてくれていて運命の再会を果たしました。彼に巡り合うまでにはなかなかの紆余曲折がありましたが、今彼は全力でメイクブースで仕事をしてくれています。入れ替わり飛び出してくるキャラクターたちを舞台に送り出してくださる河瀬さんの手際と技術、そして発想力の凄まじさはタイムラプスで撮っておきたいくらいのことです。全然関西在住ではない河瀬さん。また一緒に仕事できたらいいなぁ。

●制作の徳永さん

徳ちゃんと呼んでます。最高のビジネスパートナーでもあり今回の公演は彼女との話からスタートでした。彼女でなければ乗り越えられなかったこともたくさんあります。ぶっちゃけ仕事以上のことをしてくれています。公演中、主催者にも関わらず出演しているおれは、お客様がいらっしゃったときにすぐにご挨拶ができるわけではない。チケットにしても受付にしても窓口は全て彼女なわけです。一体どれだけの知恵をくれたのだろうか。感謝してもしきれぬ徳ちゃんです。彼女はこれからバンバン名うての制作さんになると思います。彼女のような制作さんが増えれば安全に打たれる公演も増えるだろうに。お客様第一に考えてくれる、当たり前のようで大変な部署。オンリーワンです。まじこれ。

●演出助手の小山くん

関西には演出助手という部署がほとんどない。でも彼を見ているとその役職の存在のおかげで押し上げられる完成度は確実にあってダレない。知り合ったのはつい去年のことですけど、わりと腹黒いところや小心者のところも含め、なくてはならない存在です。初日の「関ヶ原の見物人」にでてきてたけど。なんででてきたんやろう。まぁいいや、彼のことは。タバコ吸いに行くときも一緒のおもしろいやつです。

この方たちを抜きにして舞台はあり得ないし、このメンバーだからこそ実現できている二本立てなのです。本番はもちろん役者をみてほしいですが、その裏には粋な人たちがいる事も、ちょっとだけ感じてもらえれば幸いです。今週末まで!がんばる!

そして明日は急遽、開演前三味線ライブを竹内獅士丸さんがしてくれることになりました。

16:00

19:30

どちらの回も。ぶっちゃけもう開演前のライブだけで3300円の価値があると思う。ご来場の際には是非お早めにお越しいただいて、楽しんでください。

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