稽古16日目。
スケジュールを組むのが一番大変な時代でもあるなぁと痛感している中、林檎さんと真壁は皆勤で参加してくれている今回の公演の稽古。林檎さんはさすがというべきか、全てのシーンで台本を外していて、台本を外すのみではなく、あらゆるシーンに考察とキャラクターとの擦り合わせのあれこれが済んでいる。こうなると作品の核心についてのディスカッションへと移行できる。台詞に振り回されているうちは形を説明しても煙のように消えてしまうし、心の話をしても空振りに終わる。
スピードと、ハートと、バランスと、衣装を来てメイクアップをしてから本格的になるんじゃなくて稽古は全て本番のためのもの。ジャブのような小さなパンチはもう必要ない。繊細に作るのも時には必要だけど、ダイナミックに体当たりで作る芝居にも魅力が詰まっていると信じています。そこにどれだけ早く飛び込んでくれるかによって上がり方が変わって来る。
昔「儂が燃えて死ぬまでの噺」を作った時、たった1ページの台本の段階で出演者総出で稽古を3時間し続けたり、台本上の1ページにも満たないト書きの部分の動きばかりを大汗かきながら稽古した結果、超面白い芝居になった。あれは男芝居だったけど、去年の「お局ちゃん御用心!」もコンテンツ力の底には、キャラクター立ちしまくった登場人物に出演者全員が身を窶してくれたという土台がある。
「スーパーソニックジェット赤子」は今ちょうど、その分岐点。遅い現場では小屋入り寸前の最終通しでもまだそこに到達できてないこともある。自分の責任でもあるけど、いかに調子に乗るか、好調を続ける状態を維持したり、自分を不調から好調へと持っていけるようなメンタルコントロールも、表現者には必要だ。
そして、思う。「スーパーソニックジェット赤子」のような属性の作品は、まだまだもっともっとたくさんの人に知ってもらうべきなんだと。学生さんにも関係者さんにもそうでない方にも、本当に見届けて欲しい。
そこらへんでは見られないような瞬間を皆さまにお届けできると思っています。
【本日のハイライト】
稽古一番乗りが音響の谷口大輔さんで、二人でキッカケの話をしたり、一日稽古にいらっしゃったので、休憩も全て一緒に過ごせました。溶け込むかのように稽古に存在してくれた大輔さん。すっかり片岡自動車工業のレギュラースタッフさんです。