もう一手。

もう一手。

一生懸命に飛び跳ねているRABBIT HEART PROJECT「THE 20回転の恋」稽古もいよいよ佳境へ。

最初から最後までの演出が一通り付き、予告無しで通しをやると言う片岡自動車工業ではお馴染みの行事も敢行。出演者は「あ、あれ、止まらないぞ。あ、これ通してる。」と強制的にフェードインで感覚が研ぎ澄まされていく。

ここに来て一番輝き始めたのは、企画のスタートからずっと直向きに努力をし続けてきたメンバーたちとなってきた。演劇をやっていると、勤勉に時間をかけて努力を重ねても、才能のある者や人気のある者が、微々たる努力でさらりと場を攫って行く事もよくあるのだけど、今回の企画は3ヶ月以上もかけ作品とみっちり向き合うので、ちょっとやそっとの才能や人気程度で天狗になっている者は、追い抜かれて行く。問題としっかり向き合い、何度も壁にぶつかっては凹み、それでも立ち上がり続けた者が、ここ最近の稽古で光り始めたのです。眩く輝いていて美しいのです。

一度の稽古で色んな出来事が起こる。今日の稽古では突然泣き始める者がいた。でも稽古中は泣くな。終わってから泣け。そしてこっそり泣け。さらに、それを見たとしても共演者は決して慰めるな。取り合うな。優しくすると余計に泣く。そもそもちょっと傷ついた程度で泣いたり取り乱したりするくらいの覚悟で稽古にやって来るな。本番では泣かずに我慢するくせに、稽古場では泣いて良いという考え自体がおかしいんだよ。全ての稽古は本番の為にあるんだからさ。

ちっとも優しくない者もいた。自分の問題ばかり追いかける。そう言うものは自分の台詞ばかりを追いかけるし、自分の満足度で芝居の良し悪しを考えるようになってしまう。自分自身に不具合があったとしても、共演者に優しくあって欲しい。だって世の中そうじゃない。自分が充実していようがしていまいが、他人に手を差し伸べられる度量をいつでも持っていて欲しい。時間がないとか言う人に限って暇を無駄に食い潰してたりするもんだ。

今回の企画は本当に人気者は一人もいない。今後人気者になる可能性を秘めている者たちで構成されている。でもそんなメンバーでも満席に出来る。頑張っているんだ尋常ではないほどに。必死になって友達に会いに行ったり、お店に足を運んで「見に来てください」とお願いする事はめちゃめちゃ格好いい事だと思う。中には「必死になって観に来てって言うのってダサいと思うんですよねぇ」とか言う奴もいるけど、いやいや、頑張る姿は格好良いよ!少なくとも片岡の物差しでは超クールだ。

この初日の満席は、増席した上で本当の満席。他のステージも満席になりそうな回がいくつもあり、感無量。目指せ全ステージ満席。

ところで「THE 20回転の恋」はあともう一手、突き抜ける為の何かが必要。その何かは、本当はちょっとわかっているのかもしれないけど、突破口は一つとは限らないし、今いるメンバーたちと一緒に見つけたい。稽古場でしか見つけられない一手。これが決まればまた数段と芝居が面白くなるはず。

グッズにも着手。めちゃめちゃ可愛い公演グッズが出来上がります。どうぞお楽しみに!

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