おれに出来る事。
さて。お待ちかねかもしれないですね。片岡です。
ツンとドラの稽古の日々。
この作品は「現実」と「非現実」に分かれていて、おれの担当は「現実」の脚本と演出。先日の稽古で全体の段取りがクリア。頭の中のやりたい事をアウトプットして出演者のみんなが受け取ってくれた。手応えは感じていて、それは稽古以外の時間、出演者の大半が、予習復習をしてくれているからで、みんなで行進曲でも演奏しているかのようにゴールラインまで到達できた。
特に良いなぁと思うのは、オーディションで合格した曲者若者のみんなにちゃんとイメージが伝わった事。「こここうしたいんだよ」と伝える作業をしている時、自分はちっとも演出席にいなかった事。おれの脚本や演出に初参加である有元さんや川添さんがテクニックの部分でも呼応してくれて、常連となっている真壁ちゃんは、「お局ちゃん御用心!」の時のあの袋小路林檎さんの作品への寄り添い方とポジティブを引き継いでくれている事だ。洋平ちゃんが「お、これ片岡自動車工業名物の」と言ってくれたやつもちゃんとみんなに伝わった事。たくさんある。
ラストシーンは正直今の状態でも涙が出そうになる。お前が泣きそうになってどうすんだって思う方もいるかもしれないけど、のめり込むってとても大事な事だ。それを観客の皆さんにお届けするために稽古で溜め込んだエネルギーをフィニッシュブローとして撃ち放つわけだし、演り尽されていようが、ハートは鷲掴みに違いない。
さて。では「非現実」と呼んでいる世界はどうなのかと言うと今現段階で全シーンに問題がある。出来も遅いし意味もわからない。「担当じゃない」。多分ほとんどの人がここで妥協するのだろうがおれはこの物語が名作になると信じているし、諦めるつもりは一切ない。演出がやりたいと言えばどこまでだって食らいついて来てくれる出演者が勢ぞろいしているんだから、どこまでも挑戦し続けるべきだ。雰囲気やその場だけの感情で左右されるような劇作が上演されてはならない。少なくともおれはそう思うし、それを言い続けることが出来るのはおれだけだ。おれに出来ることをする。それはもちろん全力で今までもこれからもそうだけど、おれにしか出来ないことをする。
もはや脚本、演出の域を超えている管轄だが、まだまだ良くなる。この公演で死ぬわけにはいかないから死なないけど、死ぬ気でやろう。活力は伝染する。好き好きでやっている公演の!
芸術作品と発表会の今は丁度、狭間にいる。
今回の現場に関わったみんなが後々でも良い。あの時のあの一日一日の積み重ねがものすごい経験となるような公演にしてみせようじゃないの。大量のピンチだってチャンスに変えて来た。今回も掴む、チャンスの神様の前髪。