着陸っ離陸っ。
「THE 20回転の恋」は真っ向勝負の演劇作品です。
前回の片岡自動車工業「お局ちゃん御用心!」という作品とは見せ方、描き方が対局にあるような作品。お局ちゃんはもう純粋の可笑しさの畳み掛けでしたが、「THE 20回転の恋」は興味深さの波状攻撃を意識して作っています。作っているといっても、演出やってるだけなんだけども。
女性20名。彼女たちが多種多様の表現をし続けてくれているおかげで、興味は尽きない稽古の連続です。5月末から台本が上がり始めて、6月まるっきり立体化に費やした。書いてる時から考えていた通りになっている部分と、書いていた時からは想像もつかない変化もある。
完本した段階で個人的には一度着陸。稽古を重ね、そして本日、段取りと呼ばれる形づくりが一区切り。開演から終演までの全員の動きがクッキリついた。詰め込むだけでなく、しっかりと引き算をしながら。自分が客席に座っている時の感覚に正直に従って純粋に。具象的な表現から抽象的な表現まで色々と織り混ぜているけど、自分が考える群像劇の四十八手を盛り込んでみたので、個人的には表現のおせち料理のような作品。これをみんながしっかり表現し切れるまで稽古を貪りたいなぁと思います。演じている方はゾッとするような表現ばかりですが、決まればクールだし、これを超えるような経験は滅多に出来ないだろう。今日の稽古でエンディング周りを作ったのだけど、ここら辺が一番苦労した。踊るし。色々やって最後はド派手に行きたい。そこまでの過程がしっかり過ごせているなら踊りは祝福の宴のように見えるはず!
不可能を可能にするのが稽古だし、その成果が爆発する瞬間が生で観られる舞台は観に来てくれた人に「最高」と思わせる最大の材料だし、出演者も輝いて、音楽も良くて、照明もイカしてて、小道具も美術も、愛おしくなる恋物語の超新作、傑作の予感は感じはじめています。どうぞお楽しみに!