雨降って地固まって。

雨降って地固まって。

たくさん光が見えた一日。RABBIT HEART PROJECT「THE 20回転の恋」はどんどこどんどこ進んでいて遂に全体の輪郭が見え始めた。稽古が始まったばかりの頃に比べたらもう今の24名は戦士のようになっていて、この空気に辿り着くには大量の演出オーダーや理不尽な壁も、乗り越えて来なくちゃいけなかった。

一人の意識が伝染して、どんどん影響が影響を及ぼして、三週間もの間、時間をかけながら作品の立体化を丁寧に進めた結果、自分がどう言った演出を施しているのか、皆一様に己らの体と心を通して真摯に向き合ってくれていたので、今日の稽古で遂にその成果の片鱗がでた。長年演出をやっているけれど、なかなか見られない光景だった。

「ここがこの作品の大一番」である事を説明し直ちに返し稽古。透明な感情を一気に爆発させる、ただそれだけの大一番だけど、大人たちには難しくて、舞台に立ちたい!と純粋に創作の現場と向き合い、ひたむきなメンバーから演出席を仰け反らせるようなエネルギーの放出を感じた。この手応えを失わないように、まだまだ精度を上げれば、自分の劇作人生でもお目にかかれなかったところにまで手が届くかもしれないし、本当に素敵なメンバーが集まってくれたなぁと思いました。客席にお披露目をする一月後にはまだまだパワーアップさせて、怖くて震える兎の心臓で、劇場空間全体をバイブレーション出来るかもしれない。

稽古を切り上げ全員着替えてメイクアップもして、PVを撮りました。BANZAI FILMSがフル稼動で取り組んでくれたこのプロモーションは本番並みのテンションでクランクアップしました。出来上がりが楽しみ。

雨が降って、地が固まって、星になる勢いで夏を駆け抜けたいなぁと思います。目指しているこの作品の成功は、しっかり成功すれば演出家としても脚本家としても、主宰者としてもこの上ない誉れとなるはずだ。

「THE 20回転の恋」
このお話、すごいトリックが隠されているわけでも、意外な展開が待っているわけでも、大統領が暗殺されるわけでも、誰かが裏切るわけでもない、多分とてもとても静かな物語です。演劇表現としてトライする事に意義があるけれど、多分、小説とかそっちの方向きなんじゃないかなぁ。でもさ、演劇が演劇のまんまじゃつまらないと思うし、役者は何にだってなれるって事を、みんなに知ってもらいたいんです。綺麗事でもなんでもなく、ずっとずっと昔、自分が役者を始めた時から変わらず思い続けている事だったりします。

乙女心と野暮な少年心をくすぐり続けるような作品。どこかの誰かが真似をしたくなってくれたら嬉しい。でもこの作品を真似るのは容易くない。現時点で、自分でさえもここまでどうやってきたか、記憶が曖昧になってる部分もありますし。とにかくさ、絶対ナマで観た方が良い作品にするから、みんな観にきてよね。来月末、いよいよ開幕だ。

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