祖父の一言。

祖父の一言。

どうも。片岡です。吉報凶報が飛び交う中、突っ走り続けている2019年。

祖父が脳梗塞で倒れたと連絡が入った。入院中だ。車を飛ばしてもすぐに行ける距離ではなくて、もうかれこれ15年程会っていない。正月の前後に電話がかかってくる程度で、とてもファンキーな祖父なので、自分が生まれた頃には祖母と別れていて別の女性と再婚していた。なので厳密にいうと祖父の女性関係や細かい性格についてはよく知ってもいないのだけど。

ロマンスグレーで酒好きで女好きで車はミッション車を選びバンバン運転して、子供の頃に海釣りによく連れて行ってもらった。早朝に岸を離れ沖までゴムボートを出し、鯛だったか、なんだったかよくわからないけど、一緒に釣りを8時間くらいする。釣りは好きではない。酔うし魚の口にかかった針とそこから出た鮮血が痛々しい。でも自分が釣り上げるのは鯛ではなく、サメやらタコやら珍しいものばかりで「ビギナーズラック!」と祖父に笑われた思い出もある。釣った魚は持ち帰り自分で捌いて振る舞う祖父。

そんな何でもかんで自分自身の手でやってしまえる気丈な祖父が倒れて、電話の向こうでは呂律が回らず、多分意識も混濁している中、絞りでた言葉の中に潜んでいたワードに思わずタイムスリップした。

「孫に……おとっ、おとっ、お年玉ぁやらにゃあ…」

たまにしか会わない祖父は心底孫の自分を可愛がってくれていてお年玉は毎年くれる律儀な人だった。そして今、見舞うのは気丈な祖父にとってとても残酷な事かもしれな畔、何しろ自分が呂律も回らずベッドに寝ているところを数年ぶりの孫に目撃されるのは、きっとプライドを傷つけるだろうから、しっかり回復するまでは見舞うのは我慢することにした。

自分が逆の立場ならそうして欲しいしな。

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