是非観てほしい。
単純にツンとドラ「S」での自分が手掛ける作品をご覧いただきたい。
それは10年間劇団の主宰としてやって来て解散公演を行い、そこから個人ユニットとして三年間、本公演は4本行って来た自分に、今すべき挑戦が散りばめられている。簡単に言うと、出演者のほとんどが初めましての方ばかり。こ子では勝手知ったる俳優陣に自分の演出の補助に入ってもらう余地はほとんどなく、また中には今回が初舞台の出演者がいる。
つまりは演劇のノウハウがない。「演出ってこうだよ」「稽古はこうだよ」「現場ってこうだよ」「本番はこうなんだよ」と知る限りの事をしっかりアナウンスする。そのためには自分がこの作品で何を目指しているかはもちろんのこと、お客さんにどう思ってもらいたいか、を具体的に常に意識を強めなくてはならないが、今回思い切っているのは、初心者だろうが初参加だろうが、この物語にのめり込む状態にするためには、普段どうりのじぶんであり続ける事だ。でも割としっかりとイメージは統一されているし、何よりみんなが伸び伸びしている。
今日はおれがこれまで役者として現場に関わって来て、良い意味でも良くない意味でも心に残っている演出の言葉を羅列してみようと思います。
「君が演技してくれないうちは演出としてしてあげられることは何もない」
「楽しむのはお客さんです!舞台は君達が楽しむ場所ではありません!」
「妥協なんてしたらお客さんに失礼でしょ、出演者にも」
「本日もまた初日です。」
「台詞なんて台本に書いてあるんだから、ウダウダ言ってないでやりなさいよ」
「いつまでジャブみたいな様子見の芝居をしてるの?」
「おもんない!」
「出来ないなら見てろ、おれがやる。君はその真似をしろ」
「やってるつもりとか言うけど前から見てて、全然そう見えへん」
「台詞覚えてるんか。付き合おうか」
「背景まで楽しい芝居を作ってて、今逆に背景の方が面白くなってしまっているんだ」
「ここの台詞はこんな気持ちで言って下さい」
「何故みなさんはピンと来ないんですか?」
「理由はさておき、とにかく君の限界値を知りたかったんだ」
「なんでこんな当たり前のことできへんの!?」
「他の人から聞いといて、キミ休んでたんやから」
「キミが今立っている場所は劇場にしか見えない。宇宙を見せてみろ」
「台詞なんて順番が来たらとにかく言ってくれ」
「台詞なんか言いたくなるまで言うんじゃない」
「オープニング作っとけ。おれが稽古場に行くまでに。」
「違います!」
「そこのグループ、一切噛み合ってないからみんなでお風呂行って来て」
「キミは予告していたのにこのシーンの準備をして来ていないね。終わります」
「最高。」
まぁ、まだまだありますが。楽しいですね。心に刻まれてます。
さて。人が十人十色であるように演出だって十人十色。そこだけ切り取ればね。でもさ、演出だって代表だって、成長はしなくちゃいけないと思うよ。
そんなありとあらゆることがツンとドラの公演には詰まりまくっているので、関係者には是非見てもらいたい。今回の公演の壮大なる事故を。