キンキラキン!
「グッド・コマーシャル」の稽古。衝突した。わりとしっかりと。演出として守らねばならない今の公演における演出部分が、過去に上演してきた「グッド・コマーシャル」と衝突した。
再演における最大の難敵である。でもね。おれはね。初演のこと知らないんだ。知ってたとしても観客としての話なんだよ。だから今いる三名の出演者をどう舞台に送り出すかって事しか考えてないんだよ。過去は過去として捨てきれるのか、過去を尊重してただの再演にしちゃうのか、演出を担う身としてはとても悩ましい部分だ。
佐藤太一郎企画はその名の通り、佐藤太一郎が中心である。そうでなくちゃいけないし、お客さんもそれを楽しみにしている。太一郎さんが線なら、おれは点だ。ただの点に出来る事は限られているかもしれないけど、でもね、点はでかくなったり小さくなったりは出来るじゃない。過去公演を引き合いに出されても、それが正解の一例である事は認めるけど、他にもたくさん正解があるかもしれないじゃない。おれは白でも黒でも他の色でもないキンキラキンの「グッド・コマーシャル」にしたいんだよ。
安心感とは真逆だから大ゴケするかもしんないけど、そんなギャンブルのひとつでも放り込んでようやくおれが演出として今回いる意味が出てくるんじゃないのか。ん? そもそも演出なんて意味ないほうがいいのか? そんなわけない。でも、いっそ大人になって小さくまとまったほうが身のためか。それで誰かが満足するならそれが吉なんじゃないのか。違う違う、そんなのはおれのやり方じゃないはずだ。相手がどうであれ、おれはいつだって子供だしイタズラ好きだ。これから先もそうだろう。
おれが培った演出家としての経験を最大限に放り込んでもまだ足りてないわけで。
だったら足りてない部分を閃くしかないわけで。
残っている時間で何ができるか考えるだけだ。
そう。今日の事は企画の段階から覚悟してきた事じゃないか。ぶつかって、そのあとでしょ。いつだって名作が生まれるのは。おれは舞台上にはいないけど、冬の寒さを吹き飛ばす熱い三名の芸人が、新宿ルミネtheよしもとで、12月7日に、キンキラキンの「グッド・コマーシャル」をお届けするよ!
写真はSNSから拝借いたしました。「グッド・コマーシャル」のポスターが飾られている様子。まだおれも見た事がない。我がデザインも堂々としている。デザインに負けないように演出も尖っていく所存。