閂。
RABBIT HEART PROJECT「THE 20回転の恋」の稽古。あと2コマか3コマで段取の頂に達する。一座は歪ながらもグイグイ進行中。
いよいよ頭がパンク寸前になっている様を見ると、そうか、そうだ、これだけの物量をこなせて初めて集団力が発揮され作品の本質が垣間見られるところまで昇格するに違いない。ダンスのように秒刻みカウント刻みでキッカケが山のようにやってくるわけでもない演劇は、キッカケを自分で生み出して初めて輝くものだと思っている。ゆっくりと心を動かしてみたり、瞬間的に大きく心を躍らせてみたり、それを何度も繰り返し、脚本に敷かれたレールに沿って心を動かす訓練をする。当たり前のことを書いているようだけど、段取りだけ決めてそれで本番、と言った作品も多かれ少なかれ存在する。RABBIT HEART PROJECTに参加した皆には、未来、そう言った現場に遭遇しても、しっかりと自分で心を動かす事を心掛けられる俳優であり続けてほしいと願う。もちろん先ずは今の現場でだけれども。
初舞台の人は舞台が未知なるものであるが故の怖さをしっかり兼ね備えているので、ある意味安心だ。経験者の中でも、薄い圧力でしか舞台に立った事がない人は、どこか気が抜けている。「本番を想定してやれ」と言う指示で簡単に台詞が出てこなくなった。ほんのちょっとのアクシデントで芝居がストップしてしまう恐れもあるので、この類の経験者がある種一番危険。いやいや、出来ないから。解った程度の理解力では、まだまだ舞台には立てないから。「解る」と「出来る」の間にはものすごい差があるから。実力がない我々は、努力するしかない。そしてその努力は具体的に、予習と復習の延長線上にしかないのだから。本番が終わっちゃえばもう目を通さなくなるこの台本は、今しか本気で向き合えないんだから、とことんまで夢中になって向き合ってほしい。もはや自分の台詞以外の台詞も全て覚えるくらいしても良いくらいだ。多分、この件に関しては続編を日記で書くことになるだろう。
数時間後、「人生はミラーボール!!」のリハが始まる。全員初めましてだ。タッグで脚本演出をしている行澤氏がここまで頑張ってくれたので、ここから数回はおれの出番だ。若者たちとともに、新作を貪り尽くそう。
そしてまだ告知していない公演もいよいよ始動する。かなりの大勝負。黄金時代はまだまだ未来に転がっている。心に閂を入れて掛かろう。
LOVE。